『21th Birth Day』
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ドラッグはあっという間に手放せなくなった。
俺を壊して欲しかった、ムチャクチャになるまで。 俺を壊して欲しかった、バラバラになるまで。 街を行き交う人々は、 死の砂漠を行進する ペンギンのように見えた。 聞こえてくる全ての言葉は、 「絶壁が見える」と聞こえた。 通り過ぎる緊急車のサイレンでさえ、 世界でいちばん愛しいノイズに感じていた。 21回目の誕生日を迎える1週間ほど前だった。 俺はいつものように全ての幻想を打ち砕いていた。 仲間たちにドラッグを分けてもらおうと、 E.14thの巨大なガベージに向かった。 殺伐としたストリートのはずれに着くと、 何かいつもと違う空気がそこにあった。 「どうしたのか?」 俺は聞いた。 「友達がドラッグで死んだのさ」 友達が死んだ・・・。 ドラッグによる興奮状態時に、 使用中のドライヤーのコードを噛み切ったらしい。 地獄の日々が始まった。 ドラッグの当てを無くした俺は路頭に彷徨った。 禁断症状と、鬱状態の繰り返し。 自虐行為と、自己弁護の繰り返し。 傷つき打ちのめされ、ズタズタに引き裂かれてしまった。 救ってくれたのはヨーコだった。 誕生日の朝、突然現れたヨーコは俺を引きずり出し、 セントラル・パーク・ウエストにある安アパートに閉じ込めた。 1ヶ月間、俺はこの部屋でヨーコと二人きりで過ごした。 禁断症状の取れない俺は 真夜中だろうが何だろうが、あたり構わず暴れた。 窓ガラスを割り、机を放り投げ、ナイフで自分の腕を切りつけた。 だけど、ヨーコだけは殴れなかった。 命がけで俺を止めようとするヨーコだけは どうしても殴れなかった。 発作が終わると、俺はヨーコの膝枕で眠った。 向かいの窓から聞こえてくる Princeのファンクが心地よかった。 眠りから覚めたとき、ニューヨークの長い冬は終わっていた。 1998年の冬は、辛く、汚れた季節だった。 俺の中で何かが息吹き始めていた。 |
