『Christmas Eve』
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1997年暮れ
『帰国せよ』と書かれたエアメールはゴミ箱に捨てられ、 同封されていた1万円札数枚はギターに変わった。 凍てついたクリスマス・イヴ、 18th St.でギブソン・バートランドを手に入れた。 たった3ドルのチープなコートを風に靡かせながら、 800ドルのギブソンを持ち帰る日本人。 パークアベニュー・サウスを通り抜け、 最後のタバコに火を付けた時、男に話し掛けられた。 俺とバッファローから来たモーホーク男は、 互いに絶望のパーカッションをたたき続け、 終焉のメロディーを口ずさみ、 失望のソウルを聖夜に解き放った。 アンプリファイアで増幅された 恋人達の優雅な金切り声が、 街中にひびきわたる。 俺はいつしか耳を塞ぐのをやめ、 ストリートの窓という窓から聞こえてくる その切なくて甘い金切り声に耳を傾けていた。 俺は東側の窓辺に立ち、 モーホーク男は西側の壁にもたれていた。 そして喜びや怒り、意識、感情、Sex、愛、そして生活について いくつかの言葉を交わしたあと、 暖かいオニオン・スープにありついた。 浮かれた街に嫌気がさしていた。 周りで起きることがくだらなかった。 全てがどうでもよかった。 ヨーコからの電話も取らなかった。 ニュースや情報など、クソくらえだ。 1週間、俺はギターとバーボンに溺れていた。 気が付いた時、 街ではニュー・イヤーズ・デイへの カウントダウンが始まっていた。 街路にこぼれ落ちる 新しい生命達を見つめながら、 N.Y.C. 1997 最後の夜を 心から祝福した。 そして、初めてドラッグを手にした。 |
