『Brand New Day』


俺は落ち着きを取り戻していた。

ヨーコは優しかった。
薬が完全に切れてからは、いろんな所に出かけた。
カフェバー、
地下鉄、
共同墓地、
カリブの海、
まるで生き急ぐかのような毎日だった。
NYに来てから一番穏やかで幸せな日々だった。

5月。
ヨーコが卒業した。

卒業式の夜、俺はヨーコの家に招かれた。
彼女の家族と食事を共にし、
信じられない一言を聞いたんだ。
「日本に帰って、うちの仕事を手伝って。 一緒になろう。」
俺は泣いた。
こんなどうしようもない俺に優しくしてくれ、
更に将来も考えてくれるなんて。
その日俺はいつもより大事にヨーコを抱いた。
ヨーコの体はまるで小鳥のように震えていた。

人生の転機が訪れた、と俺は浮かれていた。
日本に帰る、日本に帰る、日本に帰る・・・

出発の前の夜、俺はヨーコと食事をした。
NYの街灯りを見下ろし、シャンパンで乾杯をした。
麗らかなJAZZに身を任せ、俺はNYの街をずっと眺めていた。
ヨーコは何も言わず、フライトのチケットを手渡して帰っていった。

出発の朝、俺はタクシーで空港に向かった。
そして、成田行きの飛行機を西の空に見送った。