『Sweet Morning』


ヨーコとの出会いは以前書いたが、続きのお話。

彼女はユージンと同じ大学の留学生だ。
髪が短く、目の大きな女の子で、歳は俺の一つ上。
始めて会った時から、俺は完全にヨーコの虜になっていたんだ。
ヨーコは知的で、優しく、いつも俺を楽しませてくれた。
そう、まるで完璧な天使のような女性だった、
ある一つのことを除けば・・・。

ヨーコの作る料理には必ずグリンピースが入ってるんだな。
俺はホントに、グリンピースだけは食べられないんだよね。
ヨーコは買い物の度にグリンピースの缶詰をいくつもカゴに入れ、
楽しそうにグリンピースを使った料理を出してくれる。
最初のときに言えばよかったんだろうけれど、
タイミングを逃した後は、言うに言えずに我慢するしかなかった。
グリンピースをミキサーにかけて、ジュースを作ってくれた時は、
涙が出てしまい、ヨーコは不思議そうに僕を見つめていた。

それでも彼女の部屋に遊びに行くときは楽しかった。
軽いお酒と食事の後は、いつも二人でビデオを見た。
俺は日本が窮屈になってニューヨークに来たのだから、
ホントは日本のテレビのビデオは見るのは嫌だったんだけど、
『志村けんのバカ殿』だけは、繰り返し繰り返し見た。
くだらないビデオを見ながら、
無邪気に笑うヨーコを見ているだけで幸せだった。

昼間は騒々しいニューヨークの街も、
夜はいつでも優しかった。

朝起きると二人は散歩に出かける。
眠りから覚めたばかりの池の白鳥達に挨拶をしたとき、
『世界中の平和がここから生まれているんじゃないかな』
と思わず口に出しそうになった。
それに気づいたヨーコが
「ん?」
と聞いたけれど、
俺は
「なんでもない」
と言って、kISSをした。
ヨーコは、眩しそうに朝日に手をかざした。