ゴミ袋
昨日の朝のこと。
その前に、わしのアパートについて書く。
アパートは2階建てで、わしの部屋は2階にあって、2階にはもう一部屋ある。
それぞれの部屋の玄関のドアーは向かい合っている。
こんな感じである。
そんでもって昨日の朝のこと。
わしは、ゴミ袋を持って家を出た。朝8時48分頃のことである。
昨日は、燃えるゴミと空き缶ゴミの日だったので、わしは左手に黄色いゴミ袋(燃えるゴミ)、右手に水色のゴミ袋(空き缶)を持って玄関のドアーを開けて外に出た。
そしたら、まったく同じタイミングで隣家のドアーも開き、中から出てきた彼女は、右手に黄色いゴミ袋、左手に水色のゴミ袋を持っていた。
その様は、まさに、鏡のようであった。
そして、ひところ昔のトレンデードラマのワンシーンのようでもあった。
実は、お隣さんの彼女とは、以前から顔見知りで(人口2万の町なんてそんなもんである)、外ではときどきお目にかかっており、隣に住んでいるということは随分前から知っていたのであるが、アパートで会うのは昨日が初めてだった。
「あら。おはよう」
と、ごく当り前な挨拶のあと、お互いはお互いの両手のゴミ袋に目がいった。
「持ってってあげよっか?」とわしが言う。
「いいよ、私が持ってくよ」と彼女が言う。
「でも、おれ、車だし、通り道だから」とわしが言う。
「いいよいいよ、私が持ってく。ビール好きだね~」とはち切れんばかりの水色のゴミ袋を見ながら彼女が言う。
「そっちも空き缶だらけじゃん」とわしが言う。
結局、おしに弱いわしが折れ、彼女は、右手に黄色いゴミ袋を2つ、左手に水色のゴミ袋を2つ持ち、アパートを出て右に曲がっていった。
朝日に雪がキラキラと光っていた。
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