駐車
1週間くらい前か。
いや、もう少し前か。10日くらい前か。
朝、出勤時に部屋を出てアパートの階段を降りると、外に見慣れぬ車が停まっている。
急いでいたからチラっと見ただけなんだけど、わし、自動車にはまったく興味がないので、何て名前の車なのかは分からない。
が、それよりも気になったのは、その車が停められていた場所である。
その車は、隣の娘の車のすぐ後ろに停められていたのだ。
もともと駐車スペースはそれほど広くないので、住民以外の車が停めるると窮屈なのだ。
「おいおい、そこに置いちゃったら、前の車が出にくいっしょ」と思いながら職場に向かった。
仕事から帰ってくると、その車は既になかったので、そんなことがあったことはしばらく忘れていた。
その週の週末、わしは、再びその車を見ることになる。
「最近よく来るなー」と思いながら、グルっと見回してみた。
わしのアパートは2棟が連なっていて、1棟に4軒あるので、全部で8軒である。
そのうちのどこかの部屋にいるんだなーと思ってさ。
や、1軒は空き部屋なので、全部で7軒か。
いやいや、少なくともわしの部屋にはいないので、6軒か。
ん?
得体の知れぬ違和感を感じて、もう一度その車が停められている場所を見てみた。
違和感の理由はすぐに分かった。
前回とは違い、その車は、隣の娘の車のすぐ前に停められていたのだ。
「おいおい、そこに置いちゃったら、その車が出にくいっしょ」
さらにこう思った。
「はっきり言って迷惑っしょ」
が、次の日も、その次の日も、その車はどこからともなくやってきているんだ。
そして、隣の娘の車と、その車は、前と後ろの違いこそあれ、どっちかの車が明らかに出にくいポジショニングにて停められている。
この駐車位置関係で、双方の車がスムーズに出し入れできる唯一の可能性は、一緒に停めて、一緒に出す、すなわち、双方のドライバーが顔見知りかもしくはそれ以上の間柄の場合である。
- 『おとなりびと Part2』 第四話 終 -
この物語はちょっとだけフィクションであり
実在の人物及び団体とは一切関係なくもありません
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『おとなりびと Part2』
第一話 「梅酒」
第二話 「エラー」
第三話 「てか」
第四話 「駐車」
『おとなりびと Part1』
第一話 「ごみ袋」
第二話 「おさめ」
第三話 「回覧版」
第四話 「続・回覧版」
第五話 「怪盗」
第六話 「成立」
第七話 「アドレス」
第八話 「ハンカチ」
第九話 「台風」
第十話 「ピンポーン」(Part1 最終回)
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おお、神様。
どうか、隣の娘が最近牽引にはまっていて、もう一台自動車引っ張らないと気が済まないという、かつて三原じゅん子が急にモータースポーツを始めたような衝動に、彼女も駆られたというオチでありますように・・・。
コメント by 庄司 — 2010/1/20 水曜日 @ 1:11:16
むむ・・・
コメント by バリ人 — 2010/1/20 水曜日 @ 21:13:24