2010/6/23 水曜日

物体

ゴロ @ 18:30:42 日記みたいなもん

これは、ほとんど誰にも話したことがないんだけど。

どうやら時期が来てしまったようなので、書きます。

今のアパートに引っ越してきたのは昨年の1月であり、

1年半ほど暮らしている。

わしの前に暮らしていた住民は知っている人間だったので、いくつか物を置いていった。必要で助かったものもあれば、未だにまったく使っていない物もある。
さらに言うと、前の前に暮らしていた住民も、前の住民と付き合いがあったという理由から、わしの部屋には、前の前の住民が残していった物もあったりする。(わしにとっても、前の前の住民は顔見知りの女性である)

1年半前の冬。
暮らし始めてしばらくたったある夜のこと。
いつも寝ている部屋の、ふすまの桟の上に、奇妙な物体が飾られていることに気付いた。

大きさは10cmほど。
素材はパッと見ただけでは木製かな?と思うが、真鍮かなとも思えるほどの黒茶色の光沢がある。
デザインは、基本的に丸く収められている。
上下左右には幅3cmほどの板状の突起が伸びており、4つの先端は魚の尾ひれのようになっていて、それぞれ上下左右対称形をなしている。

これはいったい何だろう?

「家紋かな?」と思った。

ま、でも、別に気にするほどのものでもないし、それがそこにあるからといってなんら邪魔にもならないし、それに、実際、前日まではそこにあることさえも気付いていなかったわけで。

しかし。
人間、不思議なもので。
気になりだすとどうしても気になってしまう。
しかも、注意して眺めれば眺めるほど、なんとなく不気味なムードを醸し出している。

わしは、それにそっと手をかけ、隣の部屋に移した。
ただそれだけのことだ。

それだけのことだった。はずだった。

が。
その夜中、全身を引き攣らせるほどの強烈な金縛りにあった。
永遠とも思えるその時間、わしは声も出せず、ただただ金縛りが解けるのを待っていた。

意識感覚が戻った後、冷静に、論理的に分析した。

(きっと、最近忙しかったから、疲れが溜まっていたんだろう)

そう思い込もうとしても、どうしても、視線はあの場所を指している。
そう、あの得体の知れない奇妙な物体をはずした場所だ。
そこにはいつもあるはずのあの物体がなく、ぽっかりと壁紙が見えている。

わしは、隣の部屋に行き、その物体を持ってきて元の位置に戻した。

その後、金縛りにあうことは一切なくなった。

わしはこう思っていた。
(きっと、前の住民も同じ経験をしているに違いない)
(でも、それは口に出しちゃいけない、触れちゃいけないことなんだ)
(あれはあそこになければいけない。これは、ある種の しきたり のようなものなんだ)
と。
実際に、その後も何度か、前の住民と会う機会があるが、この件について話すことはなかった。
この4月には、前の住民は我が家に何日間か滞在していったが、そのときも、ついに触れられることはなかった。

最近となっては、そんな金縛りにあったことなんてまったく思い出すこともなく、物体のこともすっかり忘れていた。

状況が変わったのは、本日、前の住民 K氏 からかかってきた電話だ。

わし「もしもし」
K氏「あの・・・」
わし「どうしました?」
K氏「南側の部屋に、変な手裏剣みたいな物体ありますよね・・・?」
(!!あるある!!)
(ついにあの物体の秘密について真相が明かされるのか!!??)
わし「ええ。家紋みたいな物体ですよね。あれ、なんですか?」
K氏「ほんとですよね。あれ、なんなんですかね。」
わし「え?Kさんのものじゃないんですか?」
K氏「はい。僕がいたときも既ににありました」
(よし、思い切って聞いてみよう)
わし「あれ、場所を移動したことあります?」
K氏「いや、ないけど、どうしてですか?」
(うわっ!!K氏は体験したことないんだ)
わし「これ、初めて言うんですけど・・・」
と、1年半前に起こった不思議な夜の話をした。
K氏「ま、まじっすか!」
わし「となると、今日はどういう内容ですか?」
K氏「実は、Mさんから連絡が来ましてね」
そう、Mさんとは、前の前の住民のことである。
K氏「もしまだあれがあるなら、引き取りたいと言ってるんですよ」
わし「えーーー!」
K氏「なんか、友達から貰った大事なものみたいなんです」
わし「もちろんお返しするのはいいんですけど・・・ただ・・・さっき話したように、動かすのがちょっと怖いんですけど・・・」
K氏「わかりました。とりあえず、まだあるとMさんに伝えておきますね」
わし「はい。お願いします。ところで、あれは何でしょうかね?」
K氏「なんでしょうね?」
わし「家紋じゃないんですかね?」と
K氏「僕は手裏剣だと思ってたんですけど。それも、Mさんに聞いてみて、分かったら伝えます」

数分後、K氏からメールが届いた。

「十字架だと言っておられます」



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コメント (1) »

  1. 面白い話ありがとうございます
    私感受性が豊かじゃないみたいで、あまりこの手の話信じないのですが
    続き楽しみのしています。
    子供の頃よく金縛りにあいましたが
    最近はコブラガエリに苦しめられてます
    歳のせいらしいです。

    コメント by 福岡雅子 — 2010/6/25 金曜日 @ 16:08:07

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